これは恋ですか。
そんな私を優しく見下ろして、大和はぎゅっと抱きしめてくれた。


「わかってる。
大事にするさ。

なぁ…拓人。
時が満ちたぞ」


…大和?

今、副社長のこと、下の名前で呼んだ?


『お、久しぶりだな、お前が名前で呼んでくれるのは。
俺の会社に入ってからは、常に部下であるからと役職で呼びやがって』

心なしか、副社長の声が弾んでいる気がする。

「当然だろう。
まぁ、結婚は仕事と関係ないからな。
これでお互いに家族も出来て地盤が固まるわけだし。
時は満ちた。
最高のメンツが揃ったぞ。

いっちょ、天下を取りに行こうか、拓人。
俺たちに最高の未来を見せてくれ」

『カンタンに言ってくれるなぁ。
それなら大和、お前、一生かけて俺を支えろよ』

「望むところだ。
妻子共々、家族ぐるみで一条家を支えてやる」



天下を取るなんて、大袈裟。
でも、なんだかこの人が言うと本当になりそうで、ワクワクする。


大和が人生をかけて一条家を支えるなら、私も努力は惜しまない。
私、信じてる。
あなたが私にとっての最高のパートナーだと。


一緒に、最高の未来を見たい。

ううん。見たいじゃない。



最高の未来を、絶対に手に入れる。



信じて強く望んでいれば、
きっと叶うはずだから…


あぁ、まさか、大和の隣でこんなに幸せな気持ちになれる日がくるなんて。
あんなに苦手で、出来るだけ避けていたのに。


いつのまにか、あなたの右側がこんなに居心地がいい。


私は、抱きよせてくれる大和の手に自分の手をそっと絡めた。
幸せを感じながら。







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