これは恋ですか。
「あー九条さん、その顔。
さては、俺のこと忘れてたでしょ?」


この声。
こざっぱりしてるから信じられないけど、この人私の苦手な技術者の久我さんだ。


「え、ということは。
久我さんは、COOGAエレクトロニクスの社長とご兄弟なのに、IJソリューションズの技術者なのですか?」

「そう。びっくりしたかい、華子くん。
普段の姿からは想像出来ないと思うけど、創業者一族なんだよ。
威が社長職を継いだから、コイツは好きな研究開発を思う存分やれる」

一条専務が肯定した。

ということは、久我さんは、COOGAの御曹司だったのか。
普段の身なりや行動からは想像もつかないけれど。


「どうせならCOOGAで思う存分やれよ、大和」

そう言った威社長に、久我さんは首を横に振った。

「COOGAじゃ、なーんにも浮かばないんだよ。
専務の為なら湯水のようにアイデアが湧いてくるのにさぁ。
威の為には、せいぜい筋トレ用のマシーンの改造くらいしか思い浮かばないし」

豪快に笑う久我さん。

それから、だぼだぼのスーツをつまんで、一条専務を見た。


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