これは恋ですか。
IJソリューションズで専務は会議中。
会議のあと、一条商事へ行ってまた、会議。
私はその為の資料をまとめていた。
「あれ、専務はまだ来てないのか」
そこへふらっと久我さんがやってきた。
相変わらず薄汚れた作業着に、ボサボサ頭。
「ご用件は?」
「一条専務に呼ばれたんだよ。
そんな顔しないでよ。般若みたいだな、九条さん」
久我さんは苦手だ。
だから、この人とは、ずっと二人きりにならないようにしてた。
今日は、この忙しいタイミングで来るなんて。
久我さんは、来客用の椅子に座ると、手にしていたパソコンを開いて、何やら作業を始めた。
話をしなくていいなら、よかった。
専務、早くいらしてください…
私はお茶を淹れてテーブルに置き、自分の作業の続きを始めた。
「あのさぁ。
いつも思うんだけど、九条さんの淹れるお茶って、少しぬるいんだよ」
久我さんは、お茶を一息に飲み干したあと、そう言った。
お茶は、熱い方が好みだったのか。
「しかも、ちょっと離れたところにわざわざ置くし」
お父さんがいつも集中すると、周りが見えなくなってお茶こぼすんだよね。
その習慣が身に染み付いているからだ。
「お茶は、一気に飲み干せる量と熱さで。
集中している作業の邪魔にならない場所に置く。
うっかりこぼさないように、だろ?
すごいな。完璧」