これは恋ですか。
「ごめん、ちょっとトイレに行ってくる」
久我さんがそう言ってトイレに向かう。
改めて目で追って見たその姿は、いつものように猫背で薄汚れた作業着にボサボサ頭。
一緒にご飯だなんて、ムリムリ。
私は一人、ボンヤリと椅子に座って、先程の映画のポスターを見た。
宇宙人がやってくるシーンなんて、本当に近くにいるかと思った。面白かった。
映画なんて久しぶりだったけど、いいな。
今度は恋愛映画でも観たいな。もし、映像も内容ももっと素晴らしい映画に、あの音響だったらって思うとワクワクしてくる。
「君、一人?
よかったら、一緒に映画観ない?」
いきなり声をかけられて、驚いた。
いつの間にか座る私の目の前に、男の人が立っていた。
いかにも軽そうな雰囲気を醸し出している人だ。
「いえ。もう、観ましたから」
「あ、じゃあさ、お茶でもどう?近くにめちゃくちゃ美味いケーキが食べられる店があるんだ」
「いえ。結構です」
「まぁ、そう言わず」
ニヤニヤした顔が嫌。しつこい所はもっと嫌。
困ったなぁ。
どうやって断わろうか悩んでいたら。
「華子、待たせた」
華子…?
名前を呼ばれて、振り返ると、久我さんがいた。