危険なキミの溺愛
「奥さんがそれはもう花のことを気に入っていらして。大企業の御曹司よ、いいお話じゃない」


やだやだやだっ。絶対に!


そんなに簡単に娘の将来を決めちゃうの?


「無理だよ…」


「帰って来てはダメよ。破談になったらうちは倒産だわ」


小さな企業ながら、お父さんと夫婦ふたりで苦労しながらやってきたのを知っているだけに何も言えなくなってしまった。



あまりに身勝手な行為だけど、強く反発することもできない。



「どうしても無理っていうなら…仕方ないけど。お母さん、最近体調が悪いのよね。破談になったらもう耐えられるかどうか…ゲホッ」


「わかった…体は大事にしてね」


話し続ける気力もなく、電話を切った。


親に頼るのは無理そう。


こうなったら、中川くんに直談判するしかないよね。




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