危険なキミの溺愛
湊のクールな顔が浮かんでは消える。



あれあれっ…。



優しい顔が思い出せない。



それもそうだよね…出会ってから、優しさを見せられたのなんてほんの少しだし。



私は湊のこと、本当になにも知らない…。



それなのに湊のことを思うだけで切なくなったり、会いたいって思ったり…本当にもうわけがわからない。



足は痛いし、湊はいないし…もう、やだ。



歩くのが辛くて道の端に蹲っていると、誰かに声をかけられた。



「大丈夫?」



「大丈夫…じゃないです…足が痛くて歩けないんです…」



「ふーん。自転車の後ろ、乗る?」



自転車に乗っているのか、キィというブレーキの軋む音が微かに聞こえた。



気持ちは嬉しいけど…知らない人のお世話になるわけにはいかないよ。



「大丈夫です…」


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