【女の事件】いらくさの家
第16話
それから3ヶ月後の5月9日頃のことであった。

多香子は、横浜の実家を出た…いいえ、追い出されてしまった後は下妻で結婚生活を送っていた。

横浜で暮らしている両親は『多香子を家から追い出した…あとは美香子を強制的に再婚させて家から追いだせば、自分たちが思い描いている老後が送れる…』と思い込んで、美香子をハイジョすることを考えていた。

多香子は、両親の自己都合で家からハイジョされたので、どうすることもできなくなっていた。

その日の朝7時過ぎのことであった。

場所は、下妻市長駒にある市営住宅の一室にて…

居間の食卓には、多香子と夫の三河島あきひこ(58歳・工場の配送)がいて、朝ごはんを食べていました。

テーブルの上には、白ごはんとみそ汁と目玉焼きときんぴらごぼうとひじきとたくあんが置かれている。

あきひこは、朝ごはんを食べながら新聞を読んでいたので、みそ汁が冷めかけていた。

そんな中で、あきひこの連れ子・ふさこ(14歳・中学3年)が居間にやって来た。

ふさこは、白のブラウスにマゼンタのリボンをつけまして、ネイビーでエンブレムがついているブレザーとマゼンタとシルバーのチェックのスカートで白のルーズソックスの制服姿で、ぺちゃんこになっている黒のカバンを持って台所にやって来た。

ふさこは、冷蔵庫のドアを開けて、中から紙パックのmeiji(明治)牛乳を取り出して、注ぎ口に直接口をつけてゴクゴクとのんでいた。

多香子は、ふさこが食卓に来ていないので台所へ呼びに行ったが、ふさ子は多香子が戻ってくるなりに食って掛かって行った。

「ふさこちゃん…朝ごはんできているわよ…おとーさん…ふさこちゃんが来るのをずっと待っているのよ…」
「やかましいわね!!何でおとーさんと一緒にごはんを食べないといけないのよ!!」
「どうしてそんなに怒っているのよぉ…おとーさんはふさこちゃんと一緒にごはん食べたいと言っているのよ…」
「だからどうしたおとーさんと一緒にごはんを食べないといけないのよと聞いてんのに、どうしてアタシの言葉をさえぎっているのよ!!」
「ふさこちゃん!!来年は高校受験でしょ!!おとーさんと一緒にごはんを食べながらどう言った高校へ行きたいとかどう言った職業につきたいのか…」
「やかましいわね!!そんなことを話してどうしたいのよ!!」
「ふさこちゃん!!」
「そんなことを話しても、否定的な意見ばっかりだわ!!」
「どうしてそんなに怒っているのよ…おとーさんは意見は言うけれど、話せば分かる人なのよ…」
「やかましいわね!!」

(バシッ!!)

ふさこは、ぺちゃんこになっている黒のカバンで多香子を激しい力を込めて叩いた後アカンベーをして学校へ行った。

(バーン!!)

ふさこは、玄関のドアを力を込めて閉めましたので、あきひこは読みかけの新聞をテーブルに叩きつけた後に腕組みをして、イライラとしていた。

あきひこは、多香子が居間に来るなりに端に置かれていた週刊誌を丸めて、多香子に投げつけた後、思い切りキレていた。

「オラオドレ!!」
「何なのよあなた!!」
「何やオドレは!!テイシュに向かって口答えをする気なのか!!」
「あなた!!アタシがいつあなたに口答えをしたと言うわけなのよ!!アタシがどんな悪いことをしたと言いたいわけなのよ!!」
「何や!!もういっぺん言ってみろ!!サイアクだ!!サイアクだサイアクだサイアクだサイアクだ…サイアクだーーーーーーー!!」
「あなた…朝から大声でおらばないでよ(叫ばないでよ)…アタシしんどいのよ…」
「何やオドレは…オドレはテイシュにものを言うときため口で言うのか!!だからふさこからイカクされるのだよ!!ふさこの表情を見て分からないのか!!ああ!!(ケッ…)」

あきひこは、ケッとした表情でイスから立ち上がった後、グレーの作業用のジャンパーを手に取った後に、黒のトートバッグを持って、玄関へ行った。

多香子は、あきひこが朝ごはんをたくさん残していたので『朝ごはんを食べて行ってよ!!』と怒ったが、逆ギレを起こしたあきひこは『やかましいだまれ!!』と怒鳴り散らしてから、多香子にこう言うた。

「今夜は、新人の従業員さんたちの歓迎会がある…帰りに新人の従業員さんたちの晩ごはんのお世話があるから帰りは深夜になる…行ってくる!!」

(バーン!!)

あきひこは、力を込めてドアを閉めた後に怒って職場へ行った。

どうして…

どうしてなのよ…

何でアタシがダンナから怒鳴られないといけないのかしら…

アタシは…

家族に気に入られたいと想って一生懸命になって努力しているのよ…

それなのに…

どうしてダンナとダンナの連れ子からきついイカクを受けないといけないのよ…

アタシ…

ますます分からなくなってしまったわ…

多香子は『こんなことになるのだったら、結婚なんかするのじゃなかったわ…』と想っていたので、気持ちがますますイシュクしていた。

あきひこ自身は、前の妻にきついDVをふるったことが原因で前の妻を自殺に追い込ませたイキサツがあった。

ふさこは、大好きだった母親を亡くしてしまったことが原因で心を固く閉ざしたままになっていた。

あきひこは、多香子と再婚をしたことを機に心を入れ換えてもう一度やり直して行こうと想っていたが、気持ちが思うように奮い立たないのでイライラがさらに高まっていた。

そうしたことが原因で、多香子とあきひこは角つき合わせの大ゲンカばかりを繰り返していた。

多香子とあきひこは『こんなことになるのだったら再婚なんかしない方がよかった…』と思っていたので、夫婦仲が険悪になっていた。

こんなことになるのだったら…

再婚しない方がよかった…

独身の方が気楽でよかったのに…

どうして再婚しないといけないのよ…

もうしんどい…

ところ変わって、水戸市大工町にありますこうすけの実家にて…

美香子とドロ沼状態におちいっているこうすけは、実家に帰ったあと別の事業所へ転職していたが、思うように働くことができなかった。

そのために、毎晩のようにこうすけは叫び声をあげて暴れていた。

「ワーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!ワーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!ワーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

こうすけの叫び声は、となり近所に大きく響き渡っていたので、近所からクレームがたくさん来ていた。

「ちょっと何なのかしらあんたらは一体!!弟さんが毎晩毎晩強烈な叫び声をあげて暴れ回ってはるけど、一体どういうわけなのかしら!!一刻でも早く精神病院へ入院させなさいよ!!」
「すみません…すみません…」

こうすけの姉は、必死になって近所のみなさまに1軒ずつわびに回っていたが、許してもらえないので想いきり困り果てていた。

その翌朝のことであった。

ところ変わりまして、家の居間にて…

家の居間には、こうすけと姉むこがいて朝ごはんを食べていた。

姉むこは、気持ちがイライラとしていたので、いつキレてしまうのか分からなくなっていた。

「おい…あんまり朝からイライラせんといてくれよぅ…こっちはものすごくしんどいのだよぅ…」
「分かっているわよそんなことは!!だけどね!!こうすけが気に入らないことがあれば暴れ回ってうさを晴らしているからこっちは頭が痛いのよ!!」
「だからそんなにイラつくなよ…」
「あのねあなた!!近所の家からもクレームが山のように来ているので、こっちはどのようにして対処すればいいのか分からなくなっているのよ!!アタシが思い切り困り果てていると言うのにあなたはなーーーーーんにもしてくれないのね!!だから怒っているのよ!!」
「分かっているわよぅ…だけど…」
「やかましいわね!!仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事…そうやって仕事と言って逃げるのもたいがいにしなさいよ!!」

話を聞いていたこうすけは、思い切りキレてしまった後にイスにかけていたジャケットを手に取って、大きめの書類袋を持った後『行ってくる!!』と怒鳴ったあと、家を出てゆこうとしていた。

「こうすけ…もう行くの?」
「遅刻しそうだから行く!!今夜は帰りが遅くなるから!!」

こうすけはこう言った後、怒って家を出て行った。

その一方で多香子は、結婚を機にもう一度やり直して行こうと意気込んでいたが、3ヶ月後になって、自分が思い描いていたことと違う方向ばかりに行ってたので、気持ちがなえていた。

せっかくもう一度やり直して行こうと意気込んでがんばっていたのに…

どうして違う方向ばかりに行っているのか…

分からなくなってなってしまったみたい…

どうしよう…
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