【女の事件】いらくさの家
第28話
「もうアカンみたいだ!!」
「ホンマや!!ガマンでけん!!」
「親会社の経営陣は、オレたち従業員さんたちを喰いものにするだけ喰いものにしておいて喰い逃げしようとしてはるみたいだ!!」
「親会社の経営陣は許さない!!」
「ホンマや!!」
「経営陣は、何ヵ所工場を潰そうとしているのだろうか!!」
「徹底して抗議するぞ!!」

8月26日の朝8時50分頃のことであった。

場所は、下妻にある工場の従業員さんたちの休憩室にて…

若い従業員さんたちは、朝礼の時間が近いのに休憩室で朝から酒をのんでいた。

テーブルの上には、コンビニで買いました日本酒・ショーチュー・ウイスキー・ビール・マッコリなどのアルコール類と激辛のスナック菓子がたくさん並べられていた。

若い従業員さんたちは、前日に主任の男性から9月いっぱいで下妻の工場が閉鎖されるので、茨城県の他の工場(鹿嶋)か千葉県の別の工場のどちらかに配置転換になると言うことが伝えられていた。

この時、従業員さんたちの間で積もり積もっていた怒りが爆発していた。

少ないお給料でも文句言わずに与えられた仕事だけをこなして、給料引きの約束で注文しましたお弁当を食べて栄養をつけて、お仕事が終わったらあきひこのおごりで晩ごはんを食べに行っていましたが、ここへ来て職場への不満が高まっていたので、若い従業員さんたちは『ドタワケの経営者の元で働けるか!!ドタワケの主任の男性にたてつくだけたてつくぞ!!』と激怒していたので、元気な顔をして働ける状態ではなかった。

若い従業員さんたちは、この時アルコールの量が許容量を大きく超えていたので、職場に対する不満を次々とぶち曲げていた。

「オレ!!職場にだまされたと思う!!」
「ああ!!ホンマやホンマや!!」
「オレ!!今の職場に再就職した時に社長から『通勤手当てが出るよ。』と言ったから入ったのに1円も手当てがでえへんかった!!」
「オレもや!!」
「オレもや!!」
「天引き貯金で貯金してくださっているのかもわからへんねん!!」
「天引き貯金と言うのは名ばかりで、天引き貯金分は親会社の会計の女がきょうだいのゼニのトラブルを解決するためのゼニに使っているのだよ!!」
「ありうるかもしれへん!!」
「もうアカン!!」
「オレたちは徹底して闘うぞ!!」

そこへ、遅れて入ってきた若い男性従業員さんが血相を変えて昨日付けの日刊ゲンダイ(タブロイド夕刊)を持って休憩室に入ってきた。

「おいみんな!!大変だ!!」
「どないしたんや!?」
「ゆうべの(日刊)ゲンダイにどえらいことが書かれてあったぞ!!」
「ゆうべの(日刊)ゲンダイ?」
「どうりでおかしいとは思わへんのか!?工場が閉鎖される原因と言うのはな!!親会社の社長夫婦がやくざの家へ出入りをしていたことが明らかになったんや!!とにかく、ゲンダイの2面を見てみろ!!」

若い従業員さんたちは、指定されたページをめくって見てみた。

すると…

親会社の社長がやくざのナンバーツーの男の横で、ロレックス(高級腕時計)を持って、ほこらしげにしている写真が大きく写っていたので、若い従業員さんたちの間に衝撃が走った。

他にも、社長夫人が軽井沢のゴルフ場で親分の夫人と茨城県警の本部の捜査1課長の妻とゴルフウェア姿でニヤニヤとした表情で写っている写真や社長夫婦の女子大生のひとり娘が六本木のディスコのお立ち台でラメラメの衣装を着てド派手に踊っている写真がデカデカとアップされていたので、従業員さんたちは1億倍の力を込めて激怒していた。

なんなのだ一体…

親会社の社長の一家は、下請け会社の従業員さんたちをグロウするだけグロウしておいて…

都合が悪くなったら工場をつぶせば解決できると思っているので、頭がイカれているみたいだ!!

従業員さんたちは、お酒が入っていたガラスのタンブラーを叩き割った後、いっせいに立ち上がって叫んでいた。

「とにかく、徹底して闘うぞ!!」
「オレたち下請けの従業員さんたちをグロウするだけグロウしておいて都合が悪くなったら工場を閉鎖すると言うことは、親会社の社長の頭がイカれている証拠や!!」
「ああ!!ガマンでけん!!」
「とくに社長の一人娘はこらえることがでけん!!」
「ホンマや!!」
「会社のゼニを使って大学へ行っている…それもホストクラブで遊ぶゼニになっていたと聞いたのでガマンでけん!!」
「こうなったら、親会社と泥沼の戦争を起こすぞ!!」
「ああ!!徹底して闘うぞ!!」
「下請けの従業員さんたちを喰いものにするだけ喰い潰したのだから許さない!!」
「ああ!!その通りや!!」
「徹底して闘うぞ!!」
「オレたちが戦勝するまでは、血みどろになっても闘うぞ!!」

このあと、従業員さんたちはアルコール類をごくごくとのみほして親会社と徹底して闘うぞと叫んだ後、より過激な行動に出てしまった。

工場閉鎖の知らせを聞いた従業員さんたちの怒りは、この時1000億倍の力にまでふくれあがっていたので歯止めがきかなくなっていた。

8月27日頃のことであった。

この日工場の配送業務が停止したので、商品の配送が全面的にストップした。

そのことが原因で、親会社で大パニックが発生いた。

困り果てた主任は、従業員さんたちに出勤してくれと電話をして必死になだめたので騒ぎはおさった。

ところが、従業員さんたちとしては主任の男性にグロウされたと思い込んでいたので、無限大の力を込めて激怒していた。

そしてその翌朝に、彼らはより過激な行動を起こしてしまった。
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