笑顔の行方

過去

「寧々、今夜のご飯は何?」

仕事を終えて帰宅したおばさんは

玄関で大きな声を出す。

毎日の事だけど

別に玄関で聞かなくても良いんじゃないか?

疑問を持つ俺に

「お母さん、自分の食べたいメニューじゃないと
靴を脱がずに出掛けるの。」と

なんちゅうワガママ。

娘がせっかく作って待ってるのに

食べずに出掛ける?!

「今までもそうだったのか?
寧々………一人で飯を食べてたのか??」

母親になると言って引き取っておいて、それはないだろう!

「あぁ、違う違う!
追加のおかずを買いに行ったの。
私はお酒を飲めないから、ご飯のおかずは作れるけど。
お酒のおつまみは無理だから。
カレーライスでビールは、流石に無理でしょう?」

なんだ、そういうことかぁ。

確かに、カレーにビールはないよなぁ。

俺が渋い顔をしたからか

「彰人君の奥さんになるまでには、ちゃんと作れるようになるからね。」と

ホント、可愛いよなぁ。

「無理しなくて良いよ。
俺は、今の会社に勤める前までbarを経営してたから
おつまみ程度なら作れるから。
それより、学生の今しか出来ない事をいっぱいしとけ。」

前回一緒に過ごした3週間でも思ったけど。

寧々は、良い子過ぎる。

家事も完璧で、余った時間を利用して勉強も頑張って。

今時の高校生って………遊ばないのか?

帰りにお茶したり、カラオケ行ったり………。
< 68 / 143 >

この作品をシェア

pagetop