笑顔の行方

「ほい、チケット。」

大人二人のチケットが……………なんだか不思議だ。

入り口付近の展示は、大きな水槽。

エイやいわし、カメ達がお出迎えしてくれる。

そう言えば、ここで記念の写真とビデオを撮ろうと

兄貴達が寧々を立たせたんだよなぁ。

先ずは、入り口で！！って………。

記録のことで頭がいっぱいだった二人は

暗いところに、怖々入る寧々の気持ちまで気づかなかったみたいで………。

大きな魚に驚いた寧々が泣き出して

兄貴達の方が、焦って泣きそうになってたんだよなぁ。

結局、泣き止まない寧々を俺がおぶって…………。

「ねぇ、彰人君。
寧々がここで泣いたの覚えてる？
大きい魚に、びっくりしたんだよね。」

「ぶっ！！」

覚えてるも何も

今まさに、それを思いだしてたんだよなぁ。

「あぁ。
兄貴達がオロオロして
『カメさんだぞぅ』
『小さいお魚さんがいっぱいだ』って………
一生懸命あやせばあやす程、泣き声が大きくなっていって。
彩ちゃんと咲でもいれば良かったんだけど………
トイレに行った洋介を待ってて遅れてたんだよな。
だから最悪。
普段一緒に居れない二人に、寧々を譲ってやったんだけど。
あまりにも泣かすから
取り上げて、おぶったんだ。」

「うん。
覚えてる。
あの時…………恋に落ちたんだもん。」

えっ？！