最初で最後の愛の話
「愛?愛?」

愛の体に触れ、優しく体を揺さぶる。愛の目がぼんやりと開いた。そして優しく微笑む。

僕の目から涙があふれた。止めることができない。嫌だ、こんな突然の別れなんて。もっともっと思い出を作りたかったのに。

でも、これが運命だから。誰にも変えることのできないものだから。僕は、愛に言いたいことがある。訊かなきゃいけないことがある。

「愛。僕のそばにいてくれて、ありがとう。永遠に愛しているよ」

愛の目から涙がこぼれる。僕は泣きながら微笑み、訊ねた。

「こんな僕と一緒で、あなたは幸せでしたか?」

愛は優しく微笑み、その目を閉じた。その微笑みが何を言いたかったのか、きちんと僕にはわかる。

「愛、愛……」

もう二度と開くことのない目。僕は愛を抱きしめ、泣き続けた。



愛の死から数年後。僕は愛をとの恋の物語を書いた。その本は大反響を呼び、ウェルナー症候群に対する世間の関心を集めた。

僕は本屋に足を運ぶ。ベストセラーのコーナーを見ると、自分の本があってなんだか照れ臭い。
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