婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
 結婚記念日はお母さんが幸真をみてくれるというので、数時間だけふたりでレストランへ食事に出かける予定だ。

 新さんにはいろいろとしてもらってばかりだから私からなにか贈りたいのだけれど、センスがよくて、ほしいものは自分でなんでも手に入れている彼へのプレゼント選びは難しい。

「幸真のオムツ変えていいか?」

「ありがとうございます。お願いします」

 慣れた手つきで幸真を寝かせてオムツ交換をする、素敵な旦那様を穏やかな気持ちで眺める。

 想像以上に帝王切開の傷が痛く、思うように動けない私に代わって新さんは幸真の世話を積極的にしてくれた。

 最近は母乳の割合が多くなってきたけれど、新生児の頃はミルクを哺乳瓶であげてゲップも難なくさせたし、沐浴なんて私は両手で数えられる程度しかしていない。

「新さん、手荒れしていないですか?」

「いや、特に」

「夜あまり眠れていないんじゃないですか?」

 幸真の夜泣きがあるから別室にしようと提案したのだけれど、わたしたちと一緒に寝ると断られた。

「俺は元々そんなに睡眠を取らないからな」

「最近あまりお酒を飲まれていないですけど、飲みたいワインとかないですか?」

「さっきからなんなんだ」

 新さんの身体を気遣うものや、大好きなワインなどをプレゼントできたらと思ったのだけれど不審がられてしまった。
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