先輩と、一時間。
あっという間に、もう分かれ道だ。
先輩と駅で会ってから、まだ一時間くらいしか経ってないのに、もうお別れ。
はぁ……と、ため息をついていると、
「そっかそっか。里歌ちゃんは俺ともっといたいもんな」
またまた、先輩がドS彼氏になる。
だけど、私も負けない。
私は知っているのだ。
先輩は素直な言葉に弱いと。
「そうなんです。先輩と一緒にいたい」
私は先輩のブレザーの袖を握る。
「ちょ、バカ!
そ、そんな可愛いことすんな!」
慌てる先輩を見て、私は微笑んだ。
「先輩、また明日駅で」
「お、おう!帰りもちゃんと通学路で帰れよ
俺の学校の前は通るなよ」
「はーい」
と返事をしながら悲しくなる。
やっぱり、私に学校の前を通って欲しくないんだな。
私はとぼとぼと歩き出した。