【短】Reduce
あれから、数年。
スキルアップをした私は大きな病院の事務に、と院長に言われ異動することになった。
そこは、仕事も雑務もごった返していて、しんどくなる程忙しく…彼の為に涙を流すことも忘れて、打ち込める環境で。
彼ほどではないけれど、程よく優しい彼氏にも巡り合った。
まぁ、最終的に浮気はされたけれど。
私は、さっき受け取った彼…あたるくんの傘を部屋に入れると、溜息をつく。
今更再会したからと言って、何も現状は変わらない。
彼にはもう恋人、あるいは人生におけるパートナーがいるかもしれないし…。
私も今さっき追い出した彼氏との決着を一応つけなければならない。
「はぁ…酔えない」
そう呟くと、私は折角買ってきたビールにも手を付ける気にはなれず、冷蔵庫にコンビニの袋のまま突っ込んだ。
ピザまんだけはしっかりと胃に収めて。