先生は溺愛ダンナさま  旅行編
わざわざこんなこと言わなくてもいいはずなのに、なぜだか私は彼女が年上だとわかった上でこう答えていた。


意地悪な気持ちがもしかしたら少しはあったのかもしれない。


旦那さまに群がる女性はみんな彼を狙ってて、私の敵みたいに反射的に思ってしまうからかも。


「そうですか、お若いんですね」


ちょっと寂しそうに俯いた彼女は小さく頭を下げて、それじゃあと言って立ち去ろうとする。


「あ、待って。理人さんのお知り合いですか?」


「はい。すみません申し遅れました。私、上野(かみの)と言います。大学の友人です」


「あ、そうなんですね。主人に伝えておきます」


言って私も頭を下げる。

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