【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
*雨の日の事件


* * *


葵くんに連れ出されそのまま家へと帰った。


なにも言わず、なにも聞かず、葵くんは隣を歩いてくれていた。



「練習で汗かいたから、俺シャワー浴びる」


「うん……」



家に着くなり葵くんは着替えを持ってお風呂場へと向かった。


そして葵くんは扉を閉める直前に振り返ると、



「あ。お前が風邪の時に買ったゼリー、まだ冷蔵庫にあるかも」



───ピシャッ!


それだけ告げると葵くんは扉を閉めた。


な、なに、今の?


……ゼリー?


冷蔵庫を開けると葵くんの言った通りゼリーがふたつ並んでいた。



────“なにか食えそうなもんある?”



ホントに買ってきてくれてたなんて。

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