【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「許せないよ……犯人見つけたら、私……なにするかわからないかもしれない……そんな自分が怖い……」
怒りと悲しみが大きくなって、やがて憎しみに変わってしまいそうで……。
心の奥底から吐き出した本音に、
「雨野……」
悲しげな声で私を呼んだ葵くんを見上げる。
同時に、葵くんの腕が伸びてきて、私をギュッと抱きしめた。
「───憎しみは、自分に返ってくるよ」
「……っ、」
絞り出すように囁いた葵くんの声。
苦しそうな声に胸がちぎれてしまいそうになる。
「栄一さんは、誰かに蔑まれるような人なんかじゃない。俺は知ってるよ」
わかってるから……と、憎しみに染まっていきそうになった私の心に優しく触れた。