【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?


「眠れた?」


「……うん。って、ごめんね……私、いつの間にか寝ちゃったみたいで」



恥ずかしくて葵くんの顔を直視出来ないよ。



「別に。泣き疲れて寝ちゃったみたいだから、ここに寝かせた」


「……お、起こしてくれればよかったのに。そしたら、ちゃんと自分の部屋で寝たよ……?」


「なに言ってんの?離れなかったのは雨野でしょ?」


「え……!?」


「俺の服掴んで離してくんなかったんだよね」



わ、わ、私が……!?


いくら眠かったからって、私ってばなにしてるの……?


ありえない……。



「俺は甘えてくれて嬉しいよ?」



葵くんが、まるでからかうみたいに笑った。



「ち、ちが……」



ああ、もうやだ……。


顔から火でも吹きそうになって慌てて布団の中から飛び出した。

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