【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?


今まで繰り返し起きた不審なことは全部……



「本当に、八雲先生が……?」


「そうだよ?口実まで作って、ここで手紙を見せてあげたこと、もう忘れたの?」



意識が低い者は減点対象だぞ?と、貼り付けた笑顔でふざけてみせる。



「わざわざ雨野の家にまで行って手紙を送ったのに。ちゃんと見てくれてたかな?」



何度も届いたあの気味の悪い手紙。


……送り主は、八雲先生。



「恋人がいる振りをした時は、警戒心がとけそうだなって思ったけど、雨野はなかなか手強かったね?」



警察官の娘ってだけあって、そこらの女子とは違ったか、と鼻で笑った。



嘘で固めた八雲先生の軽薄な笑みを、私は睨んだ。



「体育倉庫のことも……っ」


「そう。俺は教師だからね。生徒が間違えているなら、正してあげる必要があるだろう?」


「ま、間違え?」



声も、足も、全部が震える。

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