【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
怖い。とても、怖い。
憎しみしか映していないその瞳に、身体全部が心臓にでもなったかのように暴れ出した。
それでも、それでも────
「私は、なにがあったって、お父さんに寄り添うって決めたから……っ」
口にした直後、恐ろしいほどの力で私の腕を掴みあげた。
「……っ!!」
次の瞬間には、乱暴に振り下ろされ、私の身体は床に倒された。
「じゃあ、葵くんから傷つけてあげようか?」
ぞくり、と背筋が凍りついた。
「────葵 陽向。アイツも目障りだよね。いつも授業中、俺のことを見ていた。ずっと。きっと俺が雨野を見ているってことも、優しいふりして近づいてんのも、気づいちゃったんだろうね。勘のいいガキは、本当に嫌いだよ」
私を見下ろして、八雲先生は細く笑った。