斜塔
 
「ねぇ。
早く入ってみましょうよ!」

はやる気持ちの奈緒が、私の背を押して急かした。

「あ、あぁ」

私も奈緒の催促に従い、ホテルの玄関ホールに足を踏み入れた。


「わぁ…!」

奈緒が子供のような感嘆の声を上げる。

「思ってたよりも、かなり中は広いんだぁ…」

確かに外観から想像できないくらい、ホテルの中は広く感じられた。

ロビーに天井は無く、かなり上の階まで吹き抜けの構造になっている。

リゾートホテルなら一般的な作りだが、観光地でもない私達が住む都市には珍しい。


私達はフロントに向かった。

「いらっしゃいませ。
御予約は…」

「あ、式場見学の予約をした磯谷という者ですけど…」

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