人魚のお姫様
「俺の嫁になるのは、たった一人だ。その一人はもう誰か決まってる」

ディランはジッとエラを見つめ、微笑んだ。王子の目線の先にいる女を見つけ、王女たちの顔に嫉妬が現れる。

「エラ、お前が俺の嫁だ。絶対に俺の嫁にする」

ディランのその一言で、エラは王女たちから睨まれ、顔色を真っ青にするのだった。



娼婦は三日に渡って行われる。王女としてエラが相応しいのか、その三日で決まってしまうのだ。

明日から勝負が始まることになり、エラは緊張で倒れそうになる。王女たちはエラが平民だということや、ディランに気に入られていることを知った刹那、冷たくなった。

「エラ、部屋に行くぞ」

大広間でポツンと立っていたエラに、ディランが声をかける。

「はい……」

ディランにまた腰に腕を巻かれ、エラは部屋に案内される。まさにお姫様の部屋、と言った雰囲気の白で統一された部屋だ。

「素敵です!ディラン様、ありがとうございます」

エラがそう言うと、ディランはエラにまたキスをした。優しく、エラに何度もキスをする。
< 14 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop