人魚のお姫様
エラが美しい理由、それはエラの体が濡れるとわかるのだ。

エラがシャワーを出すと、体が濡れて数秒もしないうちに変化が訪れる。二本の綺麗な足は魚の下半身となった。絵本に登場する人魚の姿だ。

エラは人魚と人間のハーフだ。母が人魚で父が人間。

人魚は、歳をとっても実年齢より若く見える。母が若く見られるのはそのためだ。母は純血の人魚で、普段は強い魔力で人間の姿を保っている。そして、父と大恋愛の末にエラが誕生し、幸せを手にした。

半分しかその血がないエラは、普段は人間の姿をしている。しかし、水で濡れてしまうと人魚になってしまうのだ。

温かいお湯が張られた浴槽につかり、エラは大きく息を吐く。エラはお風呂が好きで、こうしてよく入っている。

「そういえば、お母さんから人間になれる方法を聞いたことがあったな……」

エラがまだこの村に引っ越して来る前、幼い頃は王宮のある街に住んでいた。そこでエラはある男の子と仲良くなり、よく遊んだ。
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