【女の事件】十三日の金曜日
第18話
金田町半田で暮らしている女性職員さんが、3月15日にダンナの父親と子供ふたりを全身サンショウウオのペイント男たちにズタズタに殺されてしまったことと事件が発生した日の夜に支所の職員さんたちと川之江の中心地の居酒屋へ行って飲み会に夢中になっていたことをダンナの親類の家から強烈な口調でなじられてしまったことを苦に、金見山(愛媛と香川の県境にある山)の森林で、大木にロープをくくりつけた後に首を吊って命を絶ってしまった。

女性職員さんは、遺書にダンナの父親とふたりのお子さまが殺されてしまった事件でケーサツの対応に強烈な不満を抱いていたこととダンナのきょうだいから強烈な口調でなじられてしまったことの他に、支所長からから肉体的な関係を強要されたこと…さらには、支所長が女子職員にところ構わずにセクハラザンマイをしていたことなど…職場に対する強烈な不満がたくさん書かれていた。

女性職員さんが書いた遺書は、手元には残さずにファックスで高松市のフツギョウテレビ系列のテレビ局・備讃瀬戸放送の報道センターに送られていたので、報道センターが大騒ぎを起こしてしまった。

3月16日の朝5時前のことであった。

備讃瀬戸放送の報道記者たちが乗っているテレビ局の車両が、金田の支所の前に到着した。

しばらくして、高松市と岡山市に民放の報道の記者たちと関西の民放の報道記者たちと新聞社(タブロイド夕刊)の記者と週刊誌の記者たちが次々と金田の支所に詰め寄ってきた。

おだやかな集落が一辺して騒然となっていたので、住民のみなさまはものすごく不安な気持ちになっていた。

金田の支所の支所長がセクハラをしていた疑惑報道は、本所の方にも報道陣の取材がさっとうしていた。

本所の方は、愛媛県内の報道機関の記者たちが次々とやって来て、本所の所長さんに取材攻勢を強めていた。

この日、金田の支所だけではなく四国中央市全域の支所と本所が営業できなくなってしまった。

職員たちは、組合員のみなさまからのクレームの電話の応対に追われていた。

ゆかこのかつての上司で金田の支所長は、本所から問題が解決するまでは無期限キンシンの処分を本所から言われたので、自宅キンシンを余儀なくされた。

そんな中であった。

まさのりの母親は『ゆかこはいつになったら新居浜で暮らしているカレと会って挙式披露宴の打ち合わせをするのだろうか…はよしてよ!!』とゆかこに繰り返してサイソクしていた。

ゆかこは『年度末で会うことができない…』と言うて、いいわけばかりをならべていたので、まさのりの母親は思い切りキレてしまった。

まさのりの母親は、白鳥(香川県東かがわ市)で暮らしているゆかこの両親を呼び出して、強烈な声で怒鳴り散らしたので、大ゲンカを起こしてしまった。

「あんたらね!!アタシはもうガマンの限度を大きく超えたけん、大声で怒鳴り付けるわよ!!今すぐにゆかこを白鳥へ連れて帰れ!!」
「ゆかこを実家へ連れて帰れって…姉さん、うちはものすごく困っているのよ!!」
「やかましいわね!!何がうちはものすごく困っているのよって…どんなにいいわけを取り繕ってもアカンもんはアカン!ゆかこを連れて帰れと命令しているのだから命令に従え!!」
「姉さん…あんまりだわ!!うちはね!!(19の長男)がカノジョ(17歳)を連れてきて『カノジョをニンシンさせた…結婚するから…』と言うてアタシとダンナに婚姻届けの保証人になれと言うて迫って来たのよ!!その上に、(16歳の高校生の次男)が校内で女子生徒になれなれしく近づいていって交際を迫っていたことなど…女がらみのトラブルを起こしていたので、(次男)の顔をグーで7~8回殴り飛ばしてやっつけたのよ!!それなのに二人の息子は言うことを聞いてくれんけん、イラついとんのよ!!」
「それだったらゆかこを連れて帰んなさいよ!!ゆかこを実家へ連れて帰ったら、二人の息子の寝ぼけた性格は一発で治るわよ!!」
「できればそのようにしたいよぉ…」
「いいわけばかり言うな!!」

まさのりの母親から強烈な口調でなじられたゆかこの両親は、頭が大パニックを起こしていたので、冷静にものごとを考えることができなくなっていた。

その一方で、ゆかこは婚約者のカレは他の女に乗り換えて浮気していると思い込んでいたので、この日を境にしてカレとの連絡網をシャダンした。

JAについては、契約職員で再雇用自体がイヤなのでやめることにした。

なので、よその事業所で4時間以内の仕事に転職する方に変えるためにシューカツを始めた。

しかし、ゆかこは理想の仕事がみつからずに苦しんでばかりいた。

部屋を借りるにしても保証人などがいるのでひとり暮らしができないなど…

不利になる問題ばかりが横たわっていたので、このさいだから白鳥の実家へ帰ろうかと思っていた。

アタシ…

このまま白鳥の実家へ帰った方がいいかもしれない…

よく考えたら…

おばさまの厚意に甘えまくっていたことが原因で…

不採用の山ばかりがつづいているのよ…

だからアタシは…

失敗してしまったのよ…
< 18 / 39 >

この作品をシェア

pagetop