【女の事件】十三日の金曜日
第28話
2017年10月1日のことであった。

場所は、高松市福岡町にあるパールガーデン(ホテル)の結婚披露宴場にて…

この日は、ふさことまさのりの結婚披露宴が執り行われていたが、ふさこと別れてしまったひろのりのために、ひろのりとゆかこの結婚披露宴も一緒に執り行われていた。

ひろのりは、電話でバイシャクニン夫婦に対して『上司から電話があって、急用ができたから結婚披露宴に来れん。』と言うて一方的に拒否したので、新婦新郎の席には座っていなかった。

ゆかこは、新婦新郎の席にひとりぼっちで座っていた。

二組の結婚披露宴のバイシャクニンを務める夫婦は、出席者のみなさまにどのようにして説明すればいいのか分からずにコンワクしていた。

そのために、新婦新郎のそれぞれの友人代表のあいさつ・乾杯の音頭・お色直し・エンゼルサービスなど…予定していたものは全部取りやめて、シッソな形式に変更した。

料理はお弁当工場の手作り弁当とペットボトルのサントリーウーロン茶だけ…

アルコール類はダメ…

挙式と披露宴の間に行われる親族紹介は、出席者のひとりが『気に入らない人間がいるから…』と言う理由で取り止め…

祝電はあるけど、時間の都合で省略した…

ひろのりがふさこと別れたことに腹を立ててなにもかもを削っていたの、出席者のみなさまからクレームが噴出していた。

バイシャクニンの男性は、テキトーにスピーチをしてテキトーに場を盛り上げて、大きな口をあけてガハハハハハと嗤い(わらい)飛ばしていたので、出席者のみなさまはヒソヒソと話していた。

バイシャクニンのごあいさつの後、食事に入った。

出席者のみなさまは、ホテルの結婚披露宴のメニューだと想って期待していたのに、お弁当工場の500円の手作り弁当だったので『おめでたい席の料理と言うたらお弁当工場のひやめしを言うのか!?』と怒っていた。

お弁当はゴミ箱に次々と棄てられていた。

ふさこの両親と大阪から帰省したふさこの姉夫婦の家族が座っている席にて…

両親は、出席者のみなさまがものすごく怒っている様子を見たので、困った声で言うた。

「あなた。」
「なんだよぉ。」
「やっぱり…やめさせましょう。」
「やめさせましょうって…どういうわけなんだよぉ…」
「ふさことひろのりさんを別れさせて、まさのりさんにチャンスを与えたことが間違いのもとだったのよ!!聞いとんかしらね!!」
「おい、あんまり怒るなよぉ…せっかくの慶びの日なのに…」
「あなた!!」

この時であった。

姉夫婦のふたりのお子さま(5歳女の子と3歳男の子)がお弁当食べたくないと言うて残してしまった。

「アタシ、食べたくない…お弁当おいしくない。」
「ぼくもイヤや!!何が結婚披露宴のごちそうなんだよ!!おじいちゃんとおばあちゃんはウソつきだ!!」

ふたりのお孫さんの言葉を聞いた両親は、ものすごく弱った表情でこう言うた。

「ああ…ごめん…ごめん…おじいちゃんとおばあちゃんはウソついたわけじゃないのだよぉ…急に予定変更になっただけで…」
「そうよ…お弁当でもごちそうだと想って食べればおいしいよ…おじいちゃん…」
「ああ…おじいちゃん…お弁当の中に入っているシュウマイが食べたかったのだよ…(モグモグ)…おいしい…シュウマイおいしいな…」
「おじいちゃん、お弁当おいしいよと言うているわよ…どれかひとつだけでもいいから…」

この時、ふさこの姉がお弁当を床に叩き落としてハイヒールでふみつけた後、両親に怒鳴りつけていた。

「ちょっと!!アタシ思い切り怒っているのよ!!」
「どうしたのだよふみこ…」
「おとーさん!!アタシの話を聞いてよ!!ふさこはどこのどこまでアタシのことをグロウしているのかしらね!!」
「グロウ?」
「キョトンとした表情でもの言わんといてくれるかしら!!」
「ふみこ…せっかくふさこの晴れの門出をみんなでお祝いしているのだから…」
「おかーさんまでアタシのことをグロウする気でいるのかしら!!もういいわよ!!アタシたち、これから大阪へ帰るから!!」
「ええ!?もう大阪へ帰るの!?」
「ええ、そのつもりよ!!」
「どうしてなの?」
「どうしてなのって、何でイヤそうな表情で聞いてくるのかしら!!」
「だから、どうして大阪へ帰ってしまうのと聞いているのに、どうしておだやかに言えないのよ…おかーさんしんどいのよ。」
「あのね!!アタシは今日はパートで入ってへんといかん日になっていたのよ!!それなのに、おかーさんが泣きそうな声で『職場の人にお願いすることでけんの…』と言うから変更したのよ!!アタシが職場の人に対してどんな思いでお願いをしたのかと言うのがわかってへんみたいね!!」
「わかっているわよぉ…」
「わかっているのだったら大阪へ帰してよ!!」
「わかっているわよぉ…だけどね…」
「だけどねってどういうわけなのかしら!!あのね!!子どもたちは明日幼稚園と保育園!!ダンナはお仕事なのよ!!」
「わかっているわよぉ…だったら、最終の電車…」
「最終の新幹線に間に合わなくなるわよ!!最終の新幹線に乗り継ぐマリンライナーに乗りたいのよ!!」
「だから、少しだけでもいいからふさこの結婚をお祝いしてよぉ…帰りの電車は都合つけてあげるから…」

ふさこの姉・ふみこはものすごく激怒していたので、ふさこのもとへ行って、刃渡りのするどいナイフでふさこの顔を切りつけた。

(グシャッ!!)

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
「ふさこ!!よくもアタシのことをグロウしたわね!!あんたの顔をズタズタに切り裂いて殺したろか!!」

この時、バイシャクニンの男性があわてて出てきましてふみこをなだめようとしていた。

しかし、出席者の女性がバイシャクニンの奥さまにものすごいケンマクで詰め寄って行ったので、危険な状態におちいっていた。

「バイシャクニンさん!!うちは帰えるけん!!」
「ええ!!帰られるのですか!?」
「アタシこの後パートに入らないといけないのよ!!17時までにタイムカードを押さんと給料をへらされるのよ!!」

出席者のみなさまが次々とバイシャクニンの夫婦につめよって来て、次々とクレームをつけた上に、出席者同士の乱闘事件が発生していたので、結婚披露宴はドロ沼の戦場と化した。

ふさこは、姉からより強烈な声でなじられた上にナイフで顔を切られたので『ワーッ!!』と叫びながら結婚披露宴場を飛び出してしまった。

その上に、ふさことひろのりの共通の知人の男性がまさのりに殴りかかって行って、持っていたナイフで切られて大ケガを負った。

ゆかこ自身も『結婚イヤ!!結婚したくない!!』と言うて、強烈な声で泣き叫んでいた。

ふさこの姉夫婦の家族は、ものすごく激怒した表情でドカドカと足音を立てて披露宴場から出て行った後に、そのまま大阪へ帰ってしまった。

ふさこの両親は、ふさこが行方不明になってしまったので、ケーサツに捜索願いを出した。

その日の夜のことであった。

ふさこの両親とまさのりは、ふさこが行方不明になったので、ものすごく心配になっていた。

ケーサツからなんの連絡も来ないので、ものすごく困っている…

ふさこはケータイを持たずに出て行ったみたいだから、行方がわからない…

ふさこの両親とまさのりがものすごく不安になっているなか、深夜11時50分頃に深刻な事件が発生した。
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