【女の事件】十三日の金曜日
第4話
久秀の友人の男性が自殺をした事件と婚約者の女性が強烈な力で犯されて殺された後、遺体がズタズタに切断されてしまった事件は『容疑者の割り出しには相当な時間をかかるので捜査が難航する…』と愛媛県警は記者会見で発表した。

その一方で、久通の両親がシングルの久秀とあつこの結婚問題にムカンシンになっていた。

久秀はお給料が上がる見込みなどなくなったと両親が決めつけて、久秀の結婚を最初からあきらめていた。

あつこについては、年収が高い人とどうしても結婚してほしいので、両親はひどくあせっていた。

これではいかん…

そう思っていた両親は、一度家族関係を見直すことを決めた。

久通の両親は、自宅でふきこに任せていた祖父の介護をやめることにした。

今後は老健施設に移して、職員さんに祖父の介護してもらうことを決意したので、入所の申し込みを市役所にシンセイした。

ふきこが祖父の介護している時にえげつないことをしていると久通が怒り続けていたので、両親は久通の怒りを一刻でも早く鎮めるために市役所に施設を利用することをシンセイした。

はたして、それで久通の怒りが鎮まるのかどうか?

鎮まれば、なんの問題もないのだが…

1月17日の朝8時半過ぎのことであった。

家に四国中央市内の老健施設の女性職員さん数人が祖父のもとにやって来た。

しかし、祖父は介護をする人が交代するのを聞いたとたんにワガママをこねていた。

「イヤだ!!ふきこさんじゃないとイヤだ!!」
「義父さま!!今日からは老健施設の職員さんが介護をするから、ワガママを言わないでください!!」
「何で勝手に交代させるのだ!!」
「久通の怒りを鎮めるために施設に行くのよ!!あんたがふきこさんとえげつないことをしていたから施設へ連れてゆかれるのよ!!」
「イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ!!」
「わがままいうな!!セクハラジジイ!!オラ!!出てゆけ!!二度とこの家に帰ってくるな!!」

久通の父親は、祖父の顔を平手打ちでシツヨウに叩いたあと、右足でけとばすなどして暴行を加えていた。

「死ねや!!死ねや!!」
「ワシはセクハラしていない…ふきこさんにセクハラしていない…」
「わがまま言われん!!義父さまがふきこさんにえげつないことをしていたのでこの家から出てゆくことになったのでしょ!!」

久通の両親は、力づくで祖父を押さえつけてだまらせたあと、施設の車に無理やり乗せたあと家の中に入って行った。

祖父は、施設の車に乗せられたあと老健施設へ連れてゆかれた。

久通は両親から『祖父の介護をふきこから介護職員の女性に交代させたよ。』と言うのを聞いた。

しかし、久通は『あっ、ほーで…交代になったん…』と言うだけで、ふきこのことがキライであると言うことに変わりはなかった。

久通は、ふきこと結婚したこと自体に不満をつのらせていた。

久通は、職場の上司から再三に渡って『いつになったらふきこさんと入籍をするのだね!!せっかく久通さんのご家族から気に入られているのに、婚姻届けを出したらどうなのだ!!お嫁さんがかわいそうだとは想わないのか!!』と言われていたので、気持ちがギスギスとしていた。

何でふきこと入籍をしないといけないのだ…

非正規の契約社員でお給料が少ないのにどうやって結婚生活をして行くのだ…

ふきこと結婚したくないと言うのに、上司がどーしてもと言うから仕方なく結婚しただけ…

だから、婚姻届なんか出さない…

めんどくさい…

久通は、早いうちにふきことひろつぐの母子を始末しないと、ハメツしてしまうと思っていた。

祖父の介護を老健施設に変えたけど、ふきこは両親から『久秀のお弁当を食べる相手だけは続けてくれ。』と言われていたので、久秀のお昼のお弁当は相手は続けていた。

ふきこは、2016年11月22日にひろつぐのワガママが原因で久秀からナイフで切りつけられて大ケガを負ったので、久秀が怖いと言うている。

だから、お話をすることができない。

ゆうべのテレビの話をすれば、久秀から強烈な声で怒鳴られる。

恋とか結婚の話をすれば『なんでオレに結婚の話をするのだ!?』と怒鳴られる。

それじゃあ、どんな話題なら雑談に応じてくれるのかしら…

ふきこは、ひどく困惑していた。

その日のお昼休みのことであった。

ふきこは、久秀が勤務している職場へ行って、一緒にお弁当を食べていた。

久秀は、はひとくちもお弁当を食べていなかったので、ものすごく心配になっていた。

「久秀さん…どうしたのかなぁ…お弁当…ぜんぜん食べていないけど…」
「やかましいんだよオドレは!!ふざけんじゃねえよ!!何が『冷めていても、ごちそうだと思って食べろ』だ!!オドレはふざけとんか!!」
「久秀さん…」
「なんやオドレ!!文句あるのか!?」
「久秀さん…午後からお仕事がたくさん入っているのでしょ…お弁当を食べないとお腹がすいてしまうわよ。…義姉さんも一緒に食べてあげるから…どれか一品…ああ…白いごはんだけでもいいからお弁当を食べてよ。」
「やかましいオドレ!!オドレがごちそうだと思って食べろと言うから仕方なく食べているだけだ!!」
「久秀さん…久秀さんはお嫁さんほしいの?ほしくないの?」
「ほしくねえよ!!ほしくもないのに、なんでいらんことしよんぞ!!」
「アタシは、久秀さんがすてきなお嫁さんに出会うことができるように応援しているのよ。」

(バサッ!!グシャグシャグシャ!!)

久秀は、ふきこの前でお弁当を落とした後、靴でぐちゃぐちゃに踏み潰していた。

ふきこはびっくりした後、震える声で久秀に言うた。

「久秀さん!!どうして作ってくださったお弁当を踏み潰してしまうのよ!!どうしてごちそうだと思って食べないのよ!!イヤ!!」

久秀は、ふきこの顔につばを思い切り吐いた後、鋭い目付きでふきこを見つめていた。

ふきこは、その場にしゃがみ込んだあとひどくおびえまくっていた。

「ふざけんなよ!!オドレは放火魔の娘のくせにえらそうに言える身分か!!オヤジとオフクロとあつこに気に入られているからチョーシにのっているのか!!」

久秀は、おびえまくっているふきこに激しい暴行を加えたあと、その場から立ち去った。

アタシ…

何の落ち度もないのに…

どうして、暴力を受けなければならないのよ…

ふきこは、久秀のことが恐くなっていたので久通と離婚したいと思っていた。

だけど、上司のメンモクをつぶすことの方が怖いのでガマンするしか他にはない…

どうすればいいのよ…

アタシこのままだと…

ダンナの実家に殺されてしまう…

助けて…

助けてお願い…
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