愛プチ
トラウマゲリラ
あのトラウマ事件の夜から1日が過ぎ、日曜の昼下がり。
ようやく進藤さんからメッセージが届いた。

進藤さん以外の通知はオフにしていたので、通知音だけですぐに進藤さんだと分かる。

ケータイを見るのが怖い・・。
猛烈に怖い・・。
いや、返事をくれただけでも良しとしよう・・。

リビングのソファーで裏返したケータイを前に正座で頭を抱えていると、ちょうど朝からずっと出かけていた美月君が戻ってきた。

「・・・なにしてんの。」

「いや、ちょっと、ケータイが怖くて見れなくて・・。」

「・・なんで。」

「いや、なんでって・・。」

「みればいいじゃん。」

うずくまる私の前に裏向きに置いているケータイを彼がヒョイっと持ち上げる。

「え?!ちょちょちょ!!ちょっと!!何してんですか!!」

ケータイを取り返そうとすぐにバッと起き上がるが時すでに遅し。
既にばっちり私のケータイの画面を見ていた。

「よかったじゃん。
今晩会いたいってさ。」

「・・・え?」

ぽいっと放り投げられたケータイを受け取ると、待ち受け画面に進藤さんから確かに今晩会いたいというメッセージが表示されていた。

「よ、よかった・・・。
って、勝手に見ないでくださいよ!!!」

「お前がうじうじしてるからだろうが。ばーか。」

興味なさげに冷蔵庫に直行した美月君に思わず合掌する。

「なんで合掌されてんの俺・・。」

「いや、一人じゃなかなか見れなかったので・・一応拝んどこうと思って・・。」

「やめろ気持ちわりい。」

相変わらず口は悪いものの最初のころの様なトゲはもうない。
だいぶ話やすくというか丸くなってくれた気がする。

こうしちゃいられない。
会うのが怖い気持ちもあるけど、このまま自然消滅よりは全然いい。

会ってちゃんと自分の気持ちを伝えたい。
トラウマの話も。
傷つけてしまったことをちゃんと謝りたい。
あやふやだったあの夜を、もう一度ちゃんと塗り替えよう。

「私、行ってきます。
健闘を祈っててください!」
立ち上がり美月君に向かって敬礼をした。

「どうぞご勝手に。」

愛想のない返事だったけれど、彼の表情は優しかった。
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