愛プチ
今日はいつもの待ち合わせとは違う場所、花時計公園で会おうという事になっている。

花時計公園の場所が調べてもいまいちわからなかったので家を出る前に美月君にきくと割とうちの家のすぐ近くにあった。

近くにこんな立派な公園があったのか・・・。
最近できたみたいだけど、こっち方面全くこないから全然知らなかった。

公園の入り口の花壇には綺麗な花が沢山咲いている。
いつもなら可愛い綺麗~とほんわかする場面だが、今はそんな余裕などない。

会う事自体がもう戦いなのだ。

第一声まずなんていえばいいんだろう・・。
やっぱりごめんなさいかな・・。
でもあって早々ごめんなさいもおかしいよね。
ていうかまずどんな顔で会えばいいんだ・・。

悶々としているうちにあっという間に指定された花時計の前のベンチに到着してしまった。
離れて設置されている周りのベンチにはちらほらとカップルが座っている。

深呼吸・・深呼吸・・。
気持ちを落ち着けようと空を見上げるとどんよりと曇っていた。

「雨・・・降りそうだななんか・・。」

「亜由美ちゃん・・急に呼び出しちゃってごめんね?」
突如横から聞こえてきた声にバッと顔を向ける。

「進藤さん・・・。」
会うのを恐れていたが、怒っていないことにまずホッとした。
それと同時にこんな顔をさせてしまっている事に申し訳なさも感じる。

「この前の事ちゃんと話しておきたくてさ・・。
俺何か悪いことしたのかなって思って・・。」

「いや、進藤さんが悪いわけじゃないんです・・!
私の方こそ本当にこの間はごめんなさい!
私の問題で・・。
今日は私もその事をちゃんと話そうと思って。」

震える拳をぎゅっと握る。

嫌われたくない、でも、それ以上に本当の私を知ってほしい。

「あの、私実はトラウマがあって・・話すと長くなるんですけど・・。」

私がそうぽつりぽつりと話始めたのと同時に、ザーッと大粒の雨が降りだした。

「あゆみちゃん、こっち・・!」
進藤さんが私の手をつかんで屋根のある方へと走って連れて行ってくれる。

しかしここは公園、ベンチから少し離れたところに日陰スペースのような軒のある建物があるがここからは結構な距離がある。

小雨ならば問題なかった。
小雨程度なら私のアイプチはこすらない限り取れない。

でも今のこの雨は豪雨と言っても過言ではない。

1メートル進んだ現時点でもう服もびしょびしょになっているレベル。

なぜこのタイミングでゲリラ!!
アイプチ絶対取れてる・・感覚で分かる・・絶対取れてるこれ・・。

軒下につくころには二人とも滝修行をした後のような状態になっていた。
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