キミは当て馬、わたしはモブ。



「昨日、中村が気付かせてくれたんです」



 ……中村くんが?


 いったい、二人でどんな話をしたんだろう。


 悔しいけど気になってしまって、ついつい次の言葉に耳を傾けた。



「俺がアカネさんを好きになったのは、彼女が天真爛漫な人だったからです」



 え、なんか、急にアカネちゃんを好きになった理由を話してきたけど。


 ここからどう繋がっていくんだ……?


 図らずも帝塚くんの好きなタイプを聞けてしまって、ラッキーとも思う。でも、アカネちゃんのような爛漫さはわたしにはないしなぁ……。



「そういうところが、俺の未来に影響を与えてくれるんじゃないかと、そう思ってアカネさんに興味を持ったのですが……」



 あ、違うのか。


 帝塚くんの好きなタイプは、人生の枝分かれに協力してくれる人ってことか。


 でも、あれ? それってつまり。



「実際、俺の未来に影響を与える存在になったのは――キミでした」



 わたし、帝塚くんの好きなタイプの対象に入ってるってこと……?


 理解したら、一気に顔が熱くなってくる。


 顔を隠すためになるべく下を向いた。


 バレちゃいけない。


 こいつはそんなこと考えて喋ってない。ただ事実を述べてるだけで、他意はない。


 ……はず。

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