キミは当て馬、わたしはモブ。

｢…………｣


｢……｣


｢…………｣


｢……？｣



　え、本当に何も喋ってくれない。


　じっとわたしを見てるだけで、なんの動きも見られない。


　と思ったら、ようやく口を開いてくれた。



｢……人生で二度目の緊張かもしれません｣


｢え？｣



　なんだっけ、それ。


　前に似たような言葉を聞いた気がする。どこで聞いたんだっけ？


　考えてる間に、帝塚くんは意を決したように大きく口を開けて息を吸った。



｢俺は………………佐久良と、ずっと一緒にいたいです｣



　だけど、出てきた言葉はめちゃくちゃ小さい。


　……ああ、思い出した。教室でアカネちゃんに告白しようとしてたときだ、緊張してたの。


　つまり、今も。



｢…………いや。違います。違うんです、そうではなくて……｣



　自分から出た言葉にショックを受けて、青い顔で頭を押さえる帝塚くん。


　彼なりに、はっきり言葉にしようとしてくれてるのだろう。でも、緊張しちゃってうまく言えないんだ。


　可愛いやつめ。



｢つまり、どういうこと？　ちゃんと言ってくれないとわかんないかなぁ｣



　そんなの、わたしもいじわるしたくなっちゃうじゃん。