キミは当て馬、わたしはモブ。


 ちょいちょいちょーい! いきなり飛躍しすぎじゃない!? 行動力の塊か!?



「キミは指を加えて見ててください」


「なっ、だっ……や、やめといた方が……」


「何もしないんじゃないんですか?」


「そうじゃなくて、絶対そういうのって……」



 フラれるから。……なんて言おうとした口を、圧倒的顔面力でねじ伏せられる。


 普通の人なら、そうなるはずなんだけどなぁ。いや……イケメンだなぁ。



「? とにかく、俺は言いましたからね」


「あのさ……」


「なんですか」


「なんでそんな、わたしに横入りさせようとしてくるの?」



 仮にわたしが中村くんを本当に好きだったら、どうするつもりだったの?


 なんでわたしに邪魔をさせて、アカネちゃんと付き合えるかもしれない未来を消そうとしてるの?


 キミの、行動原理は何?


 帝塚くんは迷うことなく放った。
 


「正解はひとつ。俺の座右の銘が、『正解はひとつとは限らない』だからです」


「早速矛盾してますけど」


「そういうときもあります」


「何言ってるの?」


「俺は、俺の歩む道が、誰かの行動で枝分かれする瞬間が好きなんです」



 変なこと言い始めたぞ……。

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