キミは当て馬、わたしはモブ。


 この儀式、成功率は今のところゼロパーセントなんだよね。


 手順はこう。


 ①夢小説を消し炭にします。


 終わりです。


 燃やすために中身を確信したら、あのときの記憶がよみがえって名残惜しくなってしまう。


 じゃあどうして読み返すのかって聞かれたら、やっぱり思い出だから、最後に……っていう気持ちが芽生えちゃう。


 どうあがいても好きなんだよね……恋って残酷。


 いや、これって恋なのかな?


 やっぱりわからないや。



「これを……どうやって捨てるか……」



 そう考え始めて早二年。


 きっと今日も、思い出を捨てることはできない。


 彼以上の恋を見つけられたら、捨てられるかな?


 帝塚くんみたいに、ねじれてるけど、まっすぐで、失敗してもいいって思えるような恋。


 したいなぁ……。


 たぶん、これは、他人の恋愛に触れたから芽生えたわたしの新しい感情だった。


 帝塚くん風に言うなら、帝塚くんに出会ったことによって枝分かれした、わたしの新しい道――とでも、言うのかな。


 ちょっと帝塚くんの言ってたことがわかる気がした。


 自分の新しい道が見えたときって、ちょっぴり期待しちゃうもんだ。


 でも、まぁ、わたしからは帝塚くんに何もしないって決意は継続中だけどね。

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