キミは当て馬、わたしはモブ。



「わかりました」



 帝塚くんの承諾に、心の中でガッツポーズ。


 謎解き女王にわたしはなる!

 

「安心しました」



 そんなわたしの心情なんてつゆ知らず、帝塚くんはわたしへの好感度を上げていた。



「佐久良、ちゃんと俺のこと好きになってくれてるんですね」



 それは言い方が悪い。


 帝塚くんはいつも言葉選びが下手だよ。



「き、嫌う理由がなくなったってだけだから!」


「そうですか。両想いですね」


「りょっ……!? 軽々しくそういうことを言わないで!」



 なんでわたしばっかり変な抵抗をしないといけないんだ!



「すみません……」



 う、素直に謝られても困るけど……。



「佐久良に対してだと、つい調子に乗ってしまいますね」


「……いいんじゃない、キミらしくて」



 わたしに対して、かぁ。


 ふーん。


 そっかぁ。


 ……なんか、今日は頭がふわふわする。


 熱のせいだとは思うけど、嫌な気はしなくて、ちょっと苦しい。


 ほら、絶対悪化してるんだって。お母さん、無理して行かせたことに後悔しろ。


 でも、これはたぶん、帝塚くんの前でだけなんだろうなって気付いてる。

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