夢を見たの。

夢を見たの。

君がキスをしている夢。

相手は、またあの女の子。

屋上で、なんてやっぱりベタね。でも、私のときよりはロマンチックさに欠けるんじゃないかしら。

唇の離れた二人の、嬉しそうな顔といったら!

あぁ、なんて最悪な夢。

って、あらら、なんでかしら。

すごく胸が痛いの。涙も出てきたわ。頬を流れる涙が、口に入ってきちゃった。涙ってすごくしょっぱいのね。

ねぇ、これは夢でしょう?

それなのに、なんでこんなに苦しいのかしら。
私、いたって健康体なはずなのだけれど。

なんで涙の味がするのかしら。
わたあめを食べたときは、甘さは感じなかったのだけれど。

なんで、


なんでこれは夢じゃないのかしら。
夢ならば、こんなに辛くなかったのに。
夢ならば、私は幸せだったのに。

あぁ、なんて最悪な現実。

こんなことなら目が覚めなければよかったわ。こんなところを見てしまったら、今までの夢が全て悪夢になってしまうじゃない。


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