会長様の秘蜜な溺愛
――…怖いと思ってしまった。
夢中でキスに応じても、彼の心がそばにあったのかが分からない。
初対面の時のような怖さではなくて
…少しだけ恐ろしさも混じっているような。
こんな感情を抱いてしまったことが信じられなくて、くるしい。
わたしを帰した彼の指先は
冷え切っていたように思える。
何だったのだろう。
どうしてわたしは、あんなことを…っ。
「おはよーあさみん!」
「………」
「あれ。あさみーん?」
「っ!?あっ、おはよう香月くん」
校門をくぐり、俯きながら校舎に入ったところで
いつの間にか横に居て、わたしを不思議そうに覗き込む香月くんの姿があった。
サッカー部が朝練から戻って下駄箱に来る時間と
わたしが校舎に入る時間は近いらしく、神谷くんや麗ちゃんにもここで会うことは割と多い。
毎度のことながら朝の下駄箱はなかなかの混み具合だ。