会長様の秘蜜な溺愛



「あさみん結構モテるんだから、早くしないと本当に取られちゃうよ?」

「…お前こそあの処刑姐さんに片想いして何年経ってんだよ」

「麗に釣り合うには、もう少し身長伸びてからじゃないと」



日々膨らむ想いに

決まって蓋をするのは、この関係が壊れるのが怖いから。 



――…菜穂は気付いていない。


言葉の裏には全て、気に入られたい欲を含んだ下心が伴っていたこと。

良く思われたいが故、少しでも気にして欲しいが故に

少しの恥ずかしさを蹴って、真っ直ぐな言葉を紡いでいること。



着飾った言葉は今まで言えていたのに

肝心の想いを伝えることはためらってしまう。


…自分の底の無い臆病さに呆れては、時が過ぎていくだけだった。

< 175 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop