会長様の秘蜜な溺愛
「「菜穂?」」
「…ううん、何でもない。お父さんお母さん。いつもありがとう」
もう、やめよう。
今はただ
わたしが一番大切なこの幸せに、身を委ねていたいと思った。
「っかあさん、ぐるじぃ……」
「菜穂、大好きよ…っ」
「いつもありがとうね、菜穂」
心に広がる温かいものが胸にじんわり響いていく。
一度目を閉じてから、お母さんの背中に手をまわした。
…焦がれたあの麗しい姿を、
妖艶な笑みを、
甘美な低音を、
跡形もなく消すように――…。