会長様の秘蜜な溺愛



かつてのわたしがそうだったように

今はまだ、言葉に込められた意味が分からなくても


大きくなっても読んで

好きでいてくれたらいいな――…。



「わたしと蓮くんが一番好きな本って知ってるから、早く続きが知りたいみたい」

「さっき風呂でも言ってたよ。“おかーさんの宝物もらった!”ってすげぇ嬉しそうだった」

「ふふっ。早く英語版も読んであげたいなぁ」



わたしと蓮くんは英語版からだったけど

日本語版から世界を知るこの子は、最後まで読んだらどんなことを思うのかな。


すやすやと眠っているこの子は、どんな夢を見ているのかな。



(…また明日ね)



未来に愛しさを馳せながら

蓮くんと顔を見合わせて笑って

ふたりで、我が子の頬にキスを落とした。

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