会長様の秘蜜な溺愛
「呼ばれた理由に心当たりは?」
「…あり…ます…」
「なら話は早い」
「……あ、あの、手を…っ」
「離せって?」
「……はい…」
――近い。とにかく距離が近い。
意識をしっかり持った時には
右手首を掴まれ、上にあげられて熱量を増し、わたしの背中は壁にくっついて
ドクドクと脈を打つ心臓の音が、彼に聴こえているような気がして。
「断る」
「えっ…」
「…ふはっ」
普段の会長からは想像もつかない
いたずらっ子のように笑うその表情に
胸の奥が疼いて、何も考えられなくなるほどに惹き付けられていた。