会長様の秘蜜な溺愛
――カツン、カツン。
「…っえ、」
「足音聴こえるよな?」
「っ…」
外の空間で響き渡る
誰かが階段を上ってくるその音が、わたしには何かのタイムリミットの音に聞こえた。
必死に頷くと言われた通りにするしかなかった。
…得体のしれない恐怖から身を縮こませるわたしと
対照的に涼しい顔色を一切変えない会長。
その端正な顔立ちからは余裕がうかがえるほどだ。
(…だ…、誰が来るの…っ!?)