会長様の秘蜜な溺愛
完全なる部外者なのは百も承知だけど
彼らに対して謎の焦りすら生まれてくる。
2人の会話を聞きつつ、長らく体育座りだった体勢を変えようと、こっそり足を動かして…
――ガタッ
(…ふおぉおぉお…!!)
「「……、」」
(…うわ会話止まったもう無理だめごめんなさい本っっ当にごめんなさい…!!)
足が机の角にぶつかっちゃった…っ!!
サーッと血の気が引いていく。
…麗さんの処刑を自ら受けに行きたい気持ちだった。
現在の追い詰められようは、了承願の存在を思い出した時に似ていた。
「……ったく…」
「今のは…?」
「猫だよ。オレの愛猫」
「どうせならもう少し上手い冗談を言ってくれるかな」
「机の下。確かめたいなら自分で行け」
会長がそう言い切ったあと
戸惑った足音はカツン、カツンと
ゆっくりこちらへ近付いてきて
「っ菜穂ちゃん!?」
(…終わった…)
生きた心地がまるでしないわたしの顔は、自分でもよく分かるほど引きつっていた。