23時41分6秒


目の前を車がゆっくりと通り過ぎて
いった。

彼の名前を最後まで呼ぶことはできず、
挙げた右手から、全身へと次第に
力が抜けてゆく。


春乃だった。


私と彼が付き合っていることは
知っている。

春乃はとても喜んでいた。

彼とは、全く接点がないと話していた。


全て嘘だったのか。

私に隠れて、何度も会っていたのだろうか。

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