蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

帰りに夜景を見に行った



「キレイだね…」

私が言うと



「うん…」

瞬が頷いた



空は星もキレイだった


もぉすぐ秋の風が吹きそうな
そんな夜だった



「今日、楽しかった!
また、瞬といろんなところ行きたいな
今日も楽しかったけど
夏休み中、ずっと楽しかった!」



「うん、オレも楽しかった…」



瞬、いつもより口数が少ない?


私達は黙って歩いた



夜景がキレイなところで
私は足を止めた


何か、会話のきっかけが欲しかった



「あのさ…オレ‥
オレ、9月から転勤になった」

瞬が言った



「転勤…?9月?…来月?」



今日はもぉ8月の終わり



「…うん、転勤
方角的には、あっちの方」

瞬は夜景を見ながら方角を指差した



「ここから、見えるよ
遠くないから、ちょくちょく帰ってくる
そしたら会えるよ」

瞬は優しく言った



私は、まだよく理解できなかった



瞬は私が安心する喋り方で
不安にならないように話したけど


転勤…て…



「私の、家庭教師は?
…できない?」



「んー、しばらくは‥
でもわからないところがあったら
LINEでも教えるし
こっち帰ってきた時でよければ…
受験には、間に合うかな…
それまでに、こっちに帰ってこれれば…」



私は、家庭教師なんか、受験なんか、
どーでもよかった



たぶん、瞬が転勤しても
どれくらい会えるのか、知りたかった



受験までに…

そんなに長く?



「転勤までの数日間は
毎日時間作るから、会おう…」



「うん…」



瞬が
私を悲しませないようにしているのがわかった



だから、
だから、
泣かなかった…




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