逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
普通の芽衣になれる場所
フランス、スイス旅行へ出かける前日、荷物のパッキングにマンションへ戻った。

昼間なら、仕事で蓮さんい会うこともない。

荷物をまとめ、空港近くのホテルにお母様と前泊する。

数日ぶりにマンションに戻り、ホッとした。
あれから、蓮さんへはフランスへ母と行ってくるとだけ言って、送られてくるおはようおやすみメールに呼応しているだけ。

性格的にも潔癖で、女性の影やだらしないタイプの人は過去の苦い思い出からシャットアウト。
蓮さんへも少なからず不信感が強くなっていて。
かっこいい人じゃない人の方が浮気の心配もなく、平穏な生活が出来るかもと思っている。
どっかにいるのかな、私だけ思ってくれる人。


そして、パッキングして荷物を下ろし、運転手さんのところへ引き渡し車に乗り込もうとしたところ、蓮さんに遭遇した。
いつもいつもタイミングよく現れる。

「今から旅行?」

「ええ、時間もありますし、母と親孝行と思って行って参ります。
すぐに戻ります。蓮さんも今後のことよく考えてみて下さい。

ここ数日の間で、何の進展もない私たちの関係、ちゃんと見直しましょうお互いのために。」

そう伝え、車に乗り込むと、

「俺は変わらない。待ってる。」

そう真っ直ぐに見つめ言う蓮さん。それ以上話すことなく、車は出発した。

おそらく、私の中で結論は出ている、まだ好きの気持ちが浅いうちに離れることを選ぶだろうと。
それが最大のバリケード。防御策だから。
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