逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
最高潮
二人で朝を迎えた日から、二人の関係は何歩も進んだように感じる。
あんなに交際を放棄しようとしていた自分が信じられないくらい幸せだ。

蓮さんも忙しいはずだけどよく連絡してくれるし、色んな誤解ですれ違ったことで、それを教訓に過保護なくらい気にかけてくれる。
上司の顔とは別人なほど、想像以上にあまあまで、本人も意外と甘えん坊だ。

今日は関西へ出張へ行って三日ぶりに帰宅するので、私の部屋で夕食を食べる予定だ。
リクエストを聞いたら和風ハンバーグらしい。
割と定食屋さんメニューを好むようだ。

お昼に花の稽古へ行き、帰りにデパートに寄って買い物をした。
美味しいビールとワイン、日本酒も。おつまみにチーズも買った。

二人で使う食器を少し買ってみたり、少しずつ恋人の存在を認識している。
お揃いっていいな。
そういえば、近くに陶器を扱ったギャラリーがあったなあ。
思い出して、立ち寄ってみる。

ビルの半地下にあるこじんまりとしたお店。
開店中のようなので入ってみた。
誰もいないなあと、飾られている作品を見ていたら、奥から人の気配。
30半ばくらいの男性が現れた。
ギャラリーに似合う、落ち着いた人だ。
「いらっしゃいませ。ごゆっくりご覧下さい。」

「はい…。ありがとうございます。」

静かなギャラリーで遠慮なくゆっくり見せてもらった。
その中の一つが気になるのがあって、まじまじと見つめていたら

「気に入ってもらえましたか?
これは私も気に入っている、自信作です。」
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