逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
それから、いつものように着物を見せてくれた。
彼のこういうところはスマートで、私に気を使わせずとても自然だ。

「まあ、芽衣の着物の見立てはオレが一番上手いだろうな。
これからもご贔屓に。」

「ふふふ。確かに千歳の見立ては間違いないね。
これからも、女磨きにご協力ください。」


軽口を叩き、楽しい時間だった。
千歳は着物の事はプロフェッショナルだ。
すごいな。最近はデザインも考えたりしているみたいだし。

スイスで集まった友達も和の文化に興味がありそうだったな。
極めたものは国境を超えて、受け入れられるんだろうな。


「日本の文化は海外の人にも人気があるけど、本物を見極められる人ってなかなかいないよね。」

「そうだな。うちは一見さんお断りなところもあって、上質なものを取り扱って一点ものばかりだ。
納品にも時間を有するようなものが多いし。ただ、良いものがあるというのは知ってもらいたい。
個展のようなことをして文化継承に貢献するのもこの先、100年を見据えたら大切だと思うんだ。
本物を知るって、財産だと思うし。」

「確かに。目利きって必要だね。私も千歳から色々教わっていきたい。」


お花、着物、陶芸、日本文化はまだまだたくさんあってそんなことへ関わりたいと
漠然と思った。

「任せてくれ。」
と、笑顔たっぷりで答えてくれた。
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