逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
体の調子が回復して、九条グループで仕事をすることにした。

主に兄の仕事の手伝いだが、秘書ではない。
少し新規企画を考案中でロベルトの会社とやろうとしている。
兄とロベルトは意気投合したようで、その業務に私をリーダーとして進めて行く予定だ。
最初は規模も小さいのだけど、始めに失敗すると後が続かない。
色々と教わりながら、任せてもらえることにやりがいを感じていた。
千歳の日本文化の考えも取り入れられるかもとか、思っていたり。
そうして、半年をすぎたころ私は九条のニューヨークオフィスに転勤することになった。
私なりの挑戦だ。
私は何者でもなく私でありたいと。
成功しても失敗しても自己責任。
父や兄は仕事には厳しく、近くで一緒に仕事をして泣きそうになったことも何度もあるけど、
働く事は充実していた。


来週から、ニューヨークへ。

蓮さんはまめにメールや電話をくれる。もちろん友人として。
仕事も新規事業へ参入しているようだし、男前街道目指して頑張っているようだ。
時々食事をあのレストランですることも。
今日は私からお誘いしてニューヨーク行きを報告する予定。

「芽衣から誘ってくれてうれしいよ。」ご機嫌だ。

「うん。仕事が軌道に乗ってて、しばらく忙しくて会えそうになかったからね。」

「上手くいってる様で良かったな。」

「喜んでくれる?うれしいよ。」

「ああ、芽衣が笑顔なのはうれしい。」

「うん、ニューヨークでも頑張るね。」飛びっきりの笑顔で。

ステーキを切って口に入れたところだったが、目を丸くして
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