逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「そうだったのですね。私は皆さんに守られていたんですね。

仕事をしてみて、自分の知らない価値観がある事が分かりました。
一人前には程遠いですが、私のこれからの人生で根底に影響を与えるだけの
勉強をさせていただきました。
本当に感謝致します。ありがとうございました。」


そうして、社長室を出て、荷物を整理した。
給湯室のマグカップを取りに行くついでに、コーヒーをサーバに落とし、
小さな花瓶の花のお手入れをした。
私の最期の仕事だった。



心残りは桐生課長へ挨拶が出来なかったこと。
村上さんも外に出ているようで会えなかった。
昨日二人にメールを送っておいた。
やりかけの仕事も出来るところまで片付けて、データもサーバに置いた。
海外事業部の視線は総務部以上に好奇な目で見られた。

終わったな。エントランスを出るとスッキリしていた。

中村さんの待つ車に乗り、ひっそりとマンションに帰宅した。
明日から何をしよう…。


清々しい気持ちで退社したのに、家に帰ると一気に気落ちした。

この世でひとりぼっちのような。
ひたすらベッドに横になって過ごした。
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