懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~
「いつもの詫びも兼ねて、優秀な秘書にご褒美をやろう。何がいい?」
伯母の杏子に意見を求めたら、〝女性はとにかくこまめに労いなさい〟とのたまった。
その助言に則ってわかりやすく〝ご褒美〟という形で労うつもりだったのだが、やっぱりというべきか、宮内はなかなか答えない。
「そんなこと言われましても……欲しいものは特に……」
そういう奴だと知っていた。だからこそ一緒にいて居心地がいいのだと思う。
無欲で、豪華なものは何も求めていない。
得意先から貰ったお茶菓子だとか、たまたま持っていた飴玉ひとつであれば本当に嬉しそうに受け取ってくれるのに。それが少しでも贅沢品になると困ったような顔をする。
俺が宮内に与えて喜ばせてやれるものは何もなくて、それが少しもどかしくもあった。 何かしてやりたいという気持ちばかりが膨らんで、けれど宮内のほうは、何も俺に求めていなくて。
――だから宮内が絞り出した答えには、腰を抜かしそうになった。
「こっ……子ども! 子どもが欲しいです!!」