見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「……あの、空調温度は上げてもらうように対応したので」


その報告をしたかったまでです、と言うとサングラスの奥の目がキョトンとする。


「ぶつかってすみません。それだけです!」


バタバタと背中を向けて慌てて走り去った。
相手の目元が、「こいつ、何言ってんの」と言ってるように見えて恥ずかしかったからだ。


ひぇーっ、マズった…と放送席に戻って直ぐ同期の珠紀が私の所へ来て、重大な事実を喋り始めた。


「神野ちゃん、凄いじゃん。副社長と直にお話するなんて」


以前から顔見知りだったの?と言うから、こっちはえ?誰のこと?と訊き返す。


「やだぁ。さっき怒鳴られてた人よ。あれ、うちの社の副社長じゃない」


先月海外支社から戻ってきたと社内報に乗ってたでしょ…とこっちがすっかり忘れてたことを教えた。


「ええっ!あれが副社長!?」

「そうよ。ここ三年間くらいずっと海外支社でバイヤーとして勤めてたって社内報には乗ってたよ。…でも、まさかこのスポーツ大会に参加するとは思ってもみなかったけどね」


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